レビュー第三弾では、テスラドライバー搭載密閉型ヘッドホン・ベイヤーダイナミクス T70pを紹介します。
記事の要約
特徴 : テスラテクノロジーにより超高能率を実現
テスラテクノロジーとは何か?
それが「テスラテクノロジー」。フラッグシップモデルの「T1」(実売価格10万円前後)などの高級モデルで採用されている。
これは強力な磁気回路を搭載したことを意味している。磁気回路の磁束密度は一般的にはガウスで表されるが、テスラテクノロジーでは文字通りその磁束密度は1テスラ(1万ガウス)を超えるという。これにより、従来のヘッドホンの倍以上の能率を実現し、広いダイナミックレンジと大幅な歪みを低減した。その音はまさに、従来モデルとは一線を画す音だそうだ。
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実際、他のヘッドホンとは一線を画す音です。
ここで白状すると、わたし、テスラ大好き人間でして、これから紹介するヘッドホンはすべて1テスラ以上の磁気回路を積んだものです
それほど、このテスラテクノロジーがわたしに与えた衝撃は大きかったのです。
そんなテスラテクノロジーを搭載したポータブルヘッドホンがベイヤーダイナミクスのT70p。
ベイヤーダイナミクスにはT5pという同じくテスラテクノロジー搭載のポータブルタイプのフラッグシップ機がありますが、お値段が約9万円もします。。
「ポータブルでガンガン使い込むから傷だらけになるし、9万円も払ったら壊れた時のショックが大きすぎるなぁ。。」と思いながら、1時間近くT70pとT5pの比較試聴を繰り返した結果、音質的満足度に倍額の差は無いと判断し、T70pを買いました。
外観及び装着感
▼外観はそこそこ高級感があります。ハウジングもアーム部も金属です。
しかし、実際の作りは案外ちゃちいです。
わたしが結構乱雑に扱っているせいもありますが、右のアーム長さ調整部分がいつの間にかユルユルになってました。
またアーム部がアルミなので踏んだらひん曲がります。手である程度まで元に戻せますが。。
▼オーバーイヤー型。この価格帯になるとオーバーイヤー型以外を見つける方が難しい。
ヘッドパッドもイヤーパッドもベロア素材で肌触りが良いです。
固定方法は、ヘッドホン全体で頭を包み込む感じ。
ヘッドパッドの頂点とイヤーパッドだけではなく、ヘッドパッドの両端で頭のハチと呼ばれる一番出っ張っている部分を挟むので、イヤーパッドの側圧が強くなることがありません。
更に、その強くない側圧は、オーバーイヤー型を採用していることによりイヤーパッド全体に分散されるので、側圧が気になることは全くありません。
ヘッドパッドの頂点と両端で8割を固定し、残り2割をイヤーパッドで補っている、「イヤーパッドは添えるだけ」状態。
ヘッドパッド3点での固定はなかなか強力で、頭を振ってもヘッドホンは全くズレません。(ヘッドバンキングまで行ったら流石にズレます)
MDR-1RBTの装着感を評価しましたが、耳周りへ負担の少なさと固定力ではT70pに軍配が上がります。
区分上は密閉型ヘッドホンですが、実は両ハウジングに3.5mmの穴が空いており、そこから音が漏れます。
電車内での音量の上げすぎにはご注意を。
解像度(音の明瞭さ・クリア感)
ヘッドホンの解像度をYoutubeの解像度に例えるレビュー方法でのT70pの評価です。
ウォークマンNW-F887付属のイヤホンを144p相当とすると、
T70pの解像度は720p相当です。
ハイビジョンレベル。
サックスやギターの音の鳴り始めから鳴り終わりまでをしっかりと捉えることができる性能。
これ以上のレベルになると、ハイビジョンとフルハイビジョン、フルハイビジョンと4kの様に、それぞれの聞き分けが難しい領域に入っていきます。
個人的な体験を書かせて頂くと、正直な話、いつも使っているヘッドホンよりクラスの低いヘッドホンを着けると始めは「音が粗いな~」とか思っていても、ずっと同じものを着けていると耳が慣れてきて粗さは気にならなくなります。
それでも「ずっと着けていても気にならない」と思えるのは720p以上のヘッドホンからで、480pクラスのHD25-1Ⅱだとずっと着けている気にはなれません。(側圧が強いからかも知れませんが。。)
音場の広さおよび特徴
▼頭と外界の境界までがステージになっている感じです。
これぞヘッドホンの音場!
もはやイヤホンには届かない領域です。
T70pのスゴいところは、密閉型でこの音場の広さを実現しているところです。
音場が広い方が聞き疲れしにくいので、外でもT70pを着けっぱなし、音楽聴きっぱなしが可能です。
音の定位および分解能
▼それぞれの音が完璧に分離しています。
音場の広さと音の分離感は相関関係にあるので、ここまで音場が広ければ当たり前と言えば当たり前ですが、それぞれの音がキレイに分離していると聴いていて心地が良いです。
また、T70pはボーカルの位置が近くに感じられ、歌声や息づかいがよりはっきりと聞こえます。
T70pを通して曲を聴くと、ボーカルを中心に、演奏が周りを固める様な構成になるのです。
音の傾向
高音寄り。
その高音もキラキラして華やかで、聴いていて楽しい。
低音は量は多くはないですが、締まっており、立ち上がりが早く、キレキレ。
バスドラムは「ドッッ」。本当に、不自然なくらいのキレが良さ。
テスラテクノロジー独特のこの低音のキレは、HD25-1Ⅱを更に鋭くした感じで、クセになります。
テスラヘッドホンを使い始めてから曲の選択基準が「ドラムの打音が心地よいか」に変わったぐらいです。
このキレにより、低音の量は無くとも存在感は十分です。
また、全体的にクリアで見通しの良いスッキリした音を出します。
ドライな音とも言えるのでウォーム感が欲しい方や音圧が欲しい方は、一度試聴して音色を確認された方が良いかも知れません。
高音がキレイなので電子音楽からドラムが効いたロック、ボーカルが曲の中心になるJ-popまで、低音の量が気にならないのであれば様々な音楽に対応できます。
総括 : テスラテクノロジー搭載機ならT70pがおすすめ
テスラテクノロジー搭載のポータブルヘッドホンはT70p、T5p以外に最近発売されたT51pもあります。
▼デザインがかっこいいです。
T51pはT70pより1万円程安いですが、T70pの音場の広さと高音の煌めきは、1万円と普通の人に見せたら「え?それポータブルのサイズじゃないでしょ・・・」と言われるサイズの大きさ以上の価値があります。
ですので、テスラテクノロジーの真価を味わいたいならT70pをおすすめします。
さぁ、T70pでテスラの扉を開けましょう。
以上!アイドリングタイムのイド♂(@idomars)でした。
ありがとうございました!
~~編集後記~~
外出時はT70pを常用し、大きな荷物を持っていく余裕がない時はHD25-1 Ⅱ、余分な荷物を持っていく余裕が全くないときはイヤホン、という使い分けをしています。
「外では環境音などの雑音が多いから、高音質で音楽を聞く必要がないでしょ」とわたしも昔は思っていましたが、家で良い音で音楽を聴いていると、外でもある程度の音質で音楽を楽しみたくなってしまいます。(要するに「慣れ」の問題ですが)
ポータブルアンプが流行っていますので、世間的に同じように思っている人が増えているのでしょうか。
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(わたしはポータブルアンプは使いません。音への影響力はリケーブルよりはあるぐらいで、それこそ雑音の多い外で聞き分けられるほどの差は生まれないからです。
音質を良くしたいならやはりヘッドホンを換えた方が効果がありますし、ウォークマンに加えてポータブルアンプのバッテリーまで気にしなければならないなんて面倒くさ過ぎます。
T70pまでならアンプはあってもなくてもあまり変わりません。)