今回は、わたしがスイスにきて精神を病んでしまった原因を探っていくうちにした大発見の話をしましょう。
記事の要約
3ヶ月前の仕事の状況
前回書きましたが、問題解決のファーストステップは現状把握です。なので、まずは3ヶ月前に置かれていた状況を振り返っていきます。
仕事の内容がわからない
スイスに来てからの仕事は、今までの経験が10%ぐらいしか活かせない、自分にとって全く新しい仕事でした。
何もわからないので、何をするにしても誰かに聞く必要があり、その分仕事のスピードが遅くなります。日本にいる人に質問する必要があるときなんて最悪です。時差により、こちらの営業時間と日本の営業時間は早朝の30分しかかぶらないので、朝、日本に連絡がつかなければ丸一日その仕事は進みません。(一番質問する機会が多い、わたしの前任者は日本にいました。。)
仕事の中には、わたしの職場の最高責任者の判断が必要な案件もあります。しかし、仕事の理解があいまいな状態で質問すると、質問の的が外れてしまい、「意味がわかりません。何をすべきか本当にわかってますか?」とか言われてしまい、「いきなり畑違いの仕事させられてるんだから、分かるわけないだろ!」とも言えず、とりあえず謝る毎日。(責任者は日本人なので日本語で質問してます。英語だったらもっと悲惨なことになっていたでしょう。)
業務知識がないと仕事は捗らないという当たり前のことを体験しました。
年上の部下を持つ
スイスに来て、初めて年上の部下を3人持ちました。わたしは業務知識がないので、その方々に毎日色々教わっています。しかし一方でチームを管理していく必要もあるので、指示&説得をすることもあります。
年下の部下であれば、正論を言えば納得してくれることが多いですが、わたしよりも人生経験の多い上、仕事も理解されている年上の部下を説得するのは大変な時があります。
日本と違い、みなさん、自分の責任範囲ではない仕事は基本的にやリません。会社と書面で契約を交わした仕事以外する必要はないという考えです。ですので、「うちの部署でやらなくてもいいかもしれないけど、他の部署にやってもらうよう交渉してたら納期が遅くなるので、うちでやってしまいたい案件」、いわゆる担当部署がグレーな案件を部下にやってもらいたい場合、「なぜこの仕事をあなたがやらなければいけないのか」というところから説明が必要なので、日本よりもコミュニケーションコストがかかります。
重たかったり、緊急な案件を処理する必要がある
なぜかわたしは転勤先の組織の中で、欧州営業サポート部門の上から2番目のポジションにいます。(といっても、営業部門はわたし含めて5名しかいないのですが)わたしの直属の上司は前述の最高責任者です。
ポジション上、判断が難しい案件や、緊急案件への対応依頼がわたしに入ってきます。
判断が難しい案件を持ってこられても、何も知らないわたしでは判断できないので、上司に聞くことになります。そして、聞いてみると前述のような指導を受け、心にダメージを負います。
緊急案件は難しい案件と違い、自分で処理することはできますが、緊急であるというだけでストレスがかかるので、地味に精神を削ります。
仕事量が多すぎる
一日にメールが150件程来ます。もちろんわたしが対応する必要のないCCメールも150件の内に含まれていますが、日本にいたときの3倍です。
それらに加えて、上司からの指示や部下からの依頼もあり,さらにスイスの営業所の受注成績を上げるためのサポート役も仰せつかっているので、その日の内に確実に終わらない量の仕事が毎日入ってきます。
断れる仕事がない
「生産性を高めるために、仕事は選ぼう。時には仕事を断れ。」と言う話はよく聞きますが、権限のないサラリーマンはそれができないことを痛感しました。
営業をやっていたときは、仕事の内容もよくわかっていたし、担当エリアの現場最高責任者はわたし自身だったので、自分の判断で仕事を断ることもできました。しかし、仕事内容がわからず、「他の人がその人の仕事を進めるための依頼」を受けて、それを処理する立場では仕事を断ることはできません。
その仕事を本当にやる必要があるかを判断するのはわたしではなく、依頼をしてきた人だからです。わたしが「その仕事はやる必要がないので、お断りします。」とは言えません。
厳密に言えば、仕事を依頼してきた人と同じ量の情報(業務知識やその仕事が発生した経緯など)を持っていれば判断できますが、毎回毎回、詳しい情報を集めるのは時間的に不可能です。
ということで、悲しいかな、権限のないサラリーマンは仕事を断ることができないのです。
英語がまともにしゃべれない。
まぁこれは今もですが、英語がまともにしゃべれません。わたしが所属しいてる部門は一人を除き全員日本人で、残りのスイス人も日本語ペラペラなので、全然英語が上達しないのです。
なので、他の部署の人にお願いをしに行くとき、わたしの伝えたいことが全然伝わらないという悲しい感じになっています。
こんな状況になって思うこと
グチ半分、状況を列挙しましたが、そこから思ったことを以下に記します。
仕事の内容がわからないのが一番キツい
上記の中で最も致命的だったのが、「仕事の内容がわからない」ことです。
何かやる前に、「質問」や「確認」という一行程が必ず入ってくるので全体の工数が確実に増えます。
さらに「質問」や「確認」の答えをもらって、そのまま実行すると実は間違っていたなんて事が多々ありました。その答えが本当に正しいかを判断する知識がないので、この現象も避けられません。
で、間違うとその挽回のためにさらに時間が必要になります。
一つの仕事を終えるのに、仕事の内容がわかっているときに比べて、感覚値で倍の時間がかかっていた気がします。
なぜ畑違いの仕事をする羽目になったのか
では、なんでこんなよくわからない仕事をする羽目になったのか。
それはわたしに専門性がないからです。
一応、3年以上営業をしていましたが、この期間内に「営業と言ったらイド♂だろ」と周りから思われるほどの専門性を身に付けることはできませんでした。
結果、会社から「営業にしておく必要はないだろう」と思われ、今の職場に転勤になったのです。
理系の方が専門性が高い
そう思って周りを見てみると、文系出身の同期は職種が変わっていますが、エンジニアや設計をやっている理系出身の同期は一人も職種を変えていないことに気がつきました。
理系は大学で学んだことに関係する仕事についているからでしょう。と思いましたが、大学で専攻したことと違う仕事に就いている同期も異動していません。ずるいぞ!
総括
中学、高校生のみなさん、わたしのような目に遭いたくなければ、理系を選択すべきです。
「もう文系の学部に入っちまったよ!」という大学生のみなさんは、簿記1級など難易度の高い資格を目指して、専門性を磨きましょう。
「社会に出る前に専門性を身に付けちゃったら、人生の選択肢が狭まるじゃん!ずっと同じ仕事するなんてつまんねぇよ!」と思い、大学時代、興味あることを手当たり次第やってきたアラサーのおっさんが、悲惨な目にあったからアドバイスしておくよ。
次回からまじめな話に戻ります。
▼三部作の第一部です。
[i]スイスに転勤したら人生で最悪の3ヶ月になって、精神を病みました | アイドリングタイム
▼三部作の第三部です。
[i]持つ者による持つ者のためのタスク管理術 | アイドリングタイム
以上!アイドリングタイムのイド♂(@idomars)でした。
ありがとうございました!